写真の色について。色調とトーンって違うの?彩度と明度ってなんだろう?

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iPhoneの写真アプリで補正する前に知っておきたいこと

夜空を見上げてみたんです。いつになく澄んだ夜で、星たちがそっと語りかけてくるようでした。ロマンチック。ひときわ大きく、はっきりと輝いているあの星は金星でしょうか。その光が、白や黄色だけじゃなく、ゆらゆらと七色にも揺れている。まるで、子供の頃に宝物だと思って集めたビー玉や、ふいに差し込んだプリズムみたいな輝き。ぼーっと眺めているあいだに、じんわりと心まで柔らかくなるようでした。

その金星が光る七色は、虹よりもっとシャープで、夕空のグラデーションよりも潔く淡い。それとももっとこう、ガラス細工やクリスタルの透き通る感じかな?なんという言葉で伝えよう?

「色」を言葉で伝えるのってむずかしい

色を言葉で伝える時、「あんな感じでこんな感じの」といった“色に対して感じたイメージ”で伝えることが多いのですが、しかしその色を見て感じることも、伝えられた言葉で感じることも、人それぞれなんですよね。

たとえばグリーンと言っても、キャベツ色もあればピーマン色もあります。ピーマン色にしても、生ピーマンと焼いたピーマンではグリーンの色めが違うし、生ピーマンではイキイキとした艶やかさを感じ、焼きピーマンでは落ち着いた渋さを感じているかもしれないです。

色を言葉だけで伝えようとするとどうしても限界があって、実際にその場で目にして「わあ、こういう色だったんだ!」と納得する、そういう体験がやっぱり一番しっくりきます。見ることで伝わりやすい図表などのように、色を伝える、誰かに何かをわかりやすく伝えるひとつの方法として、写真ってとても良いツールだなあ、とあらためて感じたのでした。

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写真のこと、色調のこと

最近、自分で撮った写真を見返してはっと気がつきました。写真って、一瞬の光、その色、そのトーンごと記録してくれる。ピンボケしていたり、なぜか光が飛びすぎていたり…時には、あえて色味をいじってみることで、「あ、これはこのときに感じた気分そのものだ」としっくりくるものが撮れたりもします。

色調やトーン、つまり写真全体がまとっている雰囲気。これがほんの少し違うだけで、同じ被写体でも心に届く印象ががらっと変わったりします。柔らかい光を足してみたり、コントラストをぐっと上げてみたり。些細な変化ですが、それだけでその日の気持ち、空気感、その場にいた自分の記憶までも写し込むことができるんですね。

直感で補正できるiPhoneの編集機能

iPhone の f:id:alkanetwhite:20150926001153j:plain 写真アプリでは、写真の編集や加工、色調補正などが簡単にできる便利な編集機能があります。 

たくさんある調整の項目がなにを意味するのかを知らなくても、写真を見ながらどこかしらのスライダーを左右に動かしてみれば写真の変化は見てわかるため、思い浮かべるイメージに近づけることができます。

時にはイメージにぴったりの写真にできあがることもあって、嬉しいものですよね。しかしそこで困ったことに、次にまた同じようにしようとしても、なんとなく操作して仕上げた写真なので、同じプロセスをたどれないのです。 

そして、このブログで写真の色合いについて話したいなと思っても「色調?トーンとは違うの?」「彩度」「露出」「ハイライト?」あやふやだった補正にまつわる言葉たちが、机にこぼれた豆粒のようにわたしの頭の中で転がり続けてしまいました。

それぞれがどんな効果なのかをざっくりとでも知識として持ちながら編集するのと、やみくもに編集するのとでは、抱くイメージへたどりつけるまでのスピードも違いますよね。

色相とトーンと色調の違い

色調のことを英語で言ったらトーンなのだと、ごく最近まで思っていたんです。似たような概念だけど、微妙に違う意味があったんです。なるべくわかりやすい言葉で書いてみます。

・色相について

色相は、色の三属性(色相、明度、彩度)のひとつで、色の種類そのものを指します。「赤」「黄」「緑」絵の具のチューブや色鉛筆などがそのまま色相を表しています。

・トーンについて

写真におけるトーンとは、その色相に、明るさや暗さのグラデーション(明度)と鮮やかさ(彩度)を組み合わせた色の調子のことです。

冒頭のピーマンの話のように同じ緑色でも「明るい緑」「暗い緑」「くすんだ緑」などといった言葉で表現されます。ピーマンの印象が随分と違った印象を受けるように、トーンが変わると写真の印象が大きく変わります。

・色調について

色調は「しきちょう」と読みます。色調とは、色の組み合わせ(色相とトーン)によって生まれる全体的な雰囲気や調和のことです。

「落ち着いた色調」「明るい色調」など全体の雰囲気や印象を表現するときに使われます。これはざっくり言えば写真全体を包む込む空気感のようなもので、感覚的な表現に使われることが多いです。

たとえば、青みがかった朝の光が「クリアで涼しげに思える」、夕焼けのオレンジが「温かそうに見える」、あるいはレトロ写真に漂う黄色っぽさが「どこか懐かしい印象だな」と感じる効果。写真の隅から隅までに漂う色の調和が色調です。

例えば

色相は「何色か」、トーンは「どんな感じの色味か」、色調は「どんな雰囲気や印象か」に当てはめて例文を作ってみるとこんな感じ。

  • このピーマンの緑色は、渋い緑で、香ばしさを感じて食欲をそそる
  • このパステルピンクは、優しいピンク色をしていて、幼い頃に食べた綿菓子を思い出して懐かしい気分になる

私自身、淡いパステルトーンの朝焼けに心を預けたこともあれば、黒に沈みこむ夜景のトーンに包まれながら、人恋しい気持ちに浸ったこともありました。

色調とトーン。両者はたしかに違うけれど、ふわりと重なり合う部分も多いなと感じています。たとえば「青っぽい色調で、明るいトーン」の一枚なら、みずみずしい初夏の早朝を連想したり。「暖色系の色調で、柔らかいトーン」なら、陽だまりの中でまどろむ午後の空気…そんな具合に、イメージがふくらむのです。

彩度と明度

さて、次は「彩度」と「明度」について。先ほどからこの二つの言葉が幾度となく登場しているので、簡単に説明します。

・彩度について

彩度(さいど)は、色の鮮やかさだと思ってください。たとえば、梅雨のアジサイ。青や紫がにじむ美しい花も、曇り空の下ではどこか淡く、ささやかな存在に見えます。でも、日差しが差し込むと、その花たちは一斉に発色しはじめ、水彩絵の具のパレットのように鮮やかで力強いものになります。それが「彩度が高い」写真。一方、あえて色を抑え、静かで落ち着いた空気を演出したいなら、彩度を低くしてみる。普段わたしが心を寄せるのは、どちらかというとこの穏やかな低彩度です。ノスタルジックな思い出のように、少し色あせた空や、淡いコーヒーカップの写真。時に、あざやかな彩度で元気をもらいたい、そんな日もあるのですが、それは気分次第。

・明度について

明度(めいど)はもっとシンプルです。これは「明るさ」。白いシャツの柔らかな光、真夜中の深い影。そのどちらを強調するかで写真の印象はガラリと変わります。明度を高くすると、軽やかで透明感のある仕上がりに。逆に明度を落とせば、重厚感が増し、内面に沈黙するような写真になります。雨の日に窓から差し込む光を撮るのが好きなわたしは、明度を少しだけ高くして“日常の中の一瞬のドラマ”を演出してみたりします。

ついでと言ってはなんですが、露出とは光の明度です。この写真で例えると街灯の明かり部分を明るくしたり暗くしたりします。

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ざっくりとではありますが、これはこんな風になるんだねという感覚として、残ってくれるかなと思います。ちょっとだけ明るくしたいな、もう少し柔らかい感じにしたいな、など、こうしたいなと思った時の補正候補が選びやすくなりました。

iPhone写真アプリの編集機能で色調補正をしてみる

わたしの場合ですが明るさと彩度の調整ツールをよく使います。そのふたつだけでイメージに近づけることもありますし、もう少しなにか足りない感じがしたら、そこからシャドウやブラックポイントで調整をしてみて、また明るさや彩度に戻ってさらに微調整する感じ。

iPhone『写真』アプリの調整ツールの使い方。補正効果を画像一覧で見る 

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ブラックポイントで薄っすらと白いベールをかぶせたようにするのが、最近のお気に入りなのですが、彩度をぐっと上げて明るさを少し暗めに下げ、濃すぎるかな?というくらいにしてから、ブラックポイントを重ねてみるという具合です。

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編集機能のトリミングでスクエアにして、コラージュしたりインスタグラムに投稿したりも楽しいですよね。 

写真の色について思うこと

それにしても、色調、トーン、彩度、明度。これらは紙一重のようで、微妙に異なる感情を呼び覚ましてくれる不思議な言葉です。ときどき自分でも、「どっちがどっち?」と混乱することはあります。でも、それもまた写真の面白さだと思っています。

自分の感じた「今」を大切に、自由に色を操ってみてください。ちょっと迷子になっても、最後は「好きだな」と思える一枚に出会えたら、それがきっといちばんの正解です。

写真の色の話、じんわりと心に残る記憶のカケラのように、みなさんの撮影にもそっと寄り添ってくれたら嬉しいです。色やトーン、迷ったらまたここに戻ってきてくださいね。一緒に「今」を彩る楽しさを見つけていきましょう。

彩りの日常に気がついたら

…なんて言いながら、調子にのってiPhoneの画面を見ながらあれこれ思い悩むうち、あれもこれもと画像加工ツールの沼にハマってしまう始末。色彩理論なんて言葉も浮かんでは消え、結局「これだ!」と思える色に仕上げるまで、細かい調整を何度も繰り返してみたり。

だけど、それでいいんだろうな、と思っています。だって、どんなにがんばって言葉にしたところで、色の記憶はみんなそれぞれ少しずつ違うし、自分の「好き」はそのときどきで移ろうもの。自分だけの味わい方を見つけて、写真にも、文章にも、その時の「今」をこっそり忍ばせられたら、それだけでちょっとした宝物になる気がするんです。

もしも今日の空の色や夕方の部屋の明るさ、机の上のコーヒーカップの影のトーン、全部に気づいて「いいね」なんて笑えたら、それはたぶん、とてもいい日。

写真も日々の色も、結局、自分が感じた通りのトーンで楽しめるのがいちばんだなあと思っています。意外な発見や、小さな笑いにも出逢えるから、今日もまたiPhoneカメラを片手に、心のシャッターも押せるようにゆっくり歩いてみます。

iPhoneカメラで撮って遊んで、撮った写真で遊んで、写真ってほんとうに楽しいですね!