レンタルショップから「Apple TV+」へ。映画好きが見つけた新しい楽しみ

Apple TV+で見つけた、おすすめの映画たち。   『テトリス』や『CODA あいのうた』など、心に残る映画やドラマの感想と、次に観たい期待作をまとめました

『テトリス』や『CODA あいのうた』など、心に残った作品の感想と、次に観たい期待作をまとめました

かつて、週末といえばレンタルビデオショップへ足を運ぶのが、私にとって何よりの楽しみでした。棚に並ぶ新作の海外映画からBlu-rayディスクを手に取り、パッケージの裏面をじっくりと読みながら「今週の1本」を選んで連れて帰る。

自宅には、少し奮発して揃えたホームシアターセットと、映画を観るためだけの特別なソファ。そしてホットドリンクを用意して照明を落とす。当時はスカパー!も契約していて、映画だけでなく海外ドラマやドキュメンタリー、ディズニーチャンネルなど、あらゆる映像世界に浸る日々を送っていました。

時は流れ、時代はディスクからストリーミングへ。私の視聴スタイルもNetflixやAmazon Prime Video、Huluといったプラットフォームへと自然に移行していきました。物理的なディスクを選ぶ楽しみから、指先ひとつで膨大なライブラリから作品を選ぶスタイルへ。テレビやiMacのスクリーンで、チャンネル開始時間に左右されることなく、観たい映画を自由に選べるようになりました。視聴スタイルは変わっても、映画が好きな気持ちに変わりはありません。

私は以前から、自分のための「名作傑作映画リスト」なるものを作っていて、今でも更新し続けています。ジャンルも時代も様々で、先ほど数えてみたら37作品になっていました。このリストに新しく仲間入りするような名作や傑作に出会えることを、いつも楽しみにしています。そんな映画ライフを送る中で、ふと選択肢に入ってきたのが「Apple TV+」でした。

Apple Oneという合理的な選択が生んだ「嬉しい誤算」

正直に言うと、私がApple TV+を観るようになったきっかけは、「どうしてもこの映画が見たかったから」という情熱的なものではありませんでした。それは、日々のデジタルライフを少し整理しようとした結果だったのです。

私は現在、Appleのサブスクリプションサービスをまとめた「Apple One」のファミリープランに登録しています。もともとはApple Musicだけを利用していたのですが、家族それぞれが利用しているサービスや、パンパンになっていたiCloudストレージのことを考えたとき、個別に支払うよりもまとめてしまった方がはるかにお得であることに気づいたのです。

Apple Oneには、音楽のApple Music、ゲームのApple Arcade、そして200GBのiCloudストレージに加え、「Apple TV+」が含まれています。「ついてくるなら、ちょっと覗いてみようかな」。そんな軽い気持ちで足を踏み入れたのが始まりでした。1ヶ月の無料トライアル期間があったことも、気軽に試してみようと思えた理由のひとつです。

そして何よりiPhoneやiPad、そしてリビングのテレビでの視聴連携がとてもスムーズだったことも大きな魅力でした。そうして何気なく足を踏み入れたApple TV+の世界ですが、そこには予想以上に上質で、心に響く作品たちが待っていたのです。

 Apple TV+で見つけた、心に残る映画たち

Apple TV+の作品数は、ほかの巨大ストリーミングサービスと比べると決して多くはないかもしれません。私もラインナップを見て最初に感じたのは「あれ、これだけ?」という感想でした。でも、ひとつひとつのタイトルをじっくりと眺めていくと、脚本の質や映像の美しさで勝負しているような、そんな「職人気質」な作品が多いように感じられます。実際に視聴していくと、「量」でなく「質」へのこだわりがあることに気づかされました。

ここでは、エンドロールを眺めながら「出会えてよかった」と深い余韻を感じた作品をいくつかご紹介します。ランキング形式ではなく、それぞれの作品が持つ独自の魅力について、私の素朴な感想を交えてお伝えしていきたいと思います。

・「テトリス」:

世界一有名なゲームの誕生裏にある、スリリングな権利争奪戦の実話を描いた作品です。

誰もが一度は遊んだことのある、あの「テトリス」。ブロックを積み上げながら消していくシンプルなゲームの裏側で、これほどまでにスリリングなドラマが繰り広げられていたとは想像もしていませんでした。冷戦下のソビエト連邦を舞台に、一人のセールスマンが危険を顧みずに奔走する姿は、まるで良質なスパイ映画を見ているかのような緊張感があります。

タロン・エジャトン演じる主人公が、命がけで契約を勝ち取ろうとする情熱と行動力には圧倒されます。当時のレトロな雰囲気や、8bit音源をアレンジしたゲーム音楽も心地よく、エンターテインメントとして完成度が高い作品です。ビジネスの駆け引きと、国境を超えた友情の物語が交錯し、見終わった後にはあのテトリスのブロックが少し違って見えるかもしれません。

・「史上最高のカンパイ!戦地にビールを届けた男」:

タイトルだけ見るとコメディのような軽さを感じさせますが、実際に見てみると戦争の現実や報道のあり方について深く考えさせられる、無謀すぎる友情の実話です。

ベトナム戦争の最中、戦地にいる地元の友人たちに「缶ビールを届けて励ましたい」。そんな、あまりにも無謀で純粋な思いつきを実行に移した男の物語。ザック・エフロン演じる主人公の無邪気な愛国心が、戦場の現実とぶつかり合ったとき、どのように変化していくのか。その過程がとても丁寧に描かれています。

笑いあり、涙ありのロードムービーでありながら、主人公が現実を目の当たりにし、自身の価値観が揺らいでいく様は痛々しくもあり、人間臭くもあります。見終わったあとには、平和な場所で家族や友人とビールを飲めることの重みを、しみじみと噛み締めたくなりました。最後には静かな平和への祈りのようなメッセージが心に残ります。

・「ザ・バンカー」:

1960年代のアメリカを舞台に、差別と闘い、常識を覆そうとした二人の黒人起業家の実話に基づいた物語です。

人種差別が色濃く残る時代、彼らは不動産ビジネスで成功するために、白人の労働者階級の男性を「会社の顔」として雇い、自らは運転手や清掃員に扮してビジネスを裏で操るという大胆な作戦に出ます。痛快なコンゲームのようでありながら、根底に流れるのは、不条理な差別に対する静かな怒りと、平等を求める切実な願いです。

アンソニー・マッキーとサミュエル・L・ジャクソンの掛け合いが見事で、重いテーマを扱いつつも、逆転劇としてのエンタメ性を損なっていません。知恵と度胸で壁を打ち破ろうとする彼らの姿に、何度も拳を握りしめました。ビジネスにおける戦略の重要性だけでなく、人間の尊厳についての深いメッセージも込められている一作です。

・「パーマー」:

過去を背負う男と、自分の居場所を探す少年の交流を描いた、静かで温かい再生の物語です。

刑務所から出所し、故郷に戻った元フットボールスターのパーマー。彼が出会ったのは、「お姫様」になりたい男の子、サムでした。周囲とは少し違う感性を持って生きづらさを抱えているサムと、過去の過ちを背負い人生をやり直そうとするパーマー。不器用な二人が少しずつ心を通わせていく過程が、とても繊細に、そして優しく描かれています。

決して押し付けがましくない演出が、かえって胸に迫ります。「家族」とは必ずしも血の繋がりだけではないこと、そして人はいつでもやり直せることを教えてくれる物語。人と人とが支え合うことの温かさや、偏見を超えて相手を受け入れることの大切さを、静かに語りかけてくるような作品です。ジャスティン・ティンバーレイクの抑えた演技が素晴らしく、派手さはないものの、心にじんわりと温かいものが広がります。

・「CODA あいのうた」:

家族の中でたった一人、耳が聞こえる少女ルビーの物語です。

彼女は、耳の聞こえない家族の「通訳」として日々を支えていますが、やがて歌の才能を見出され、自身の夢と家族への責任の間で揺れ動くことになります。私自身、聴覚に少し関心を持っていたこともあり、特別な思いで見始めました。「歌うこと」を夢見る彼女と、その歌声を聴くことができない家族。作中で描かれる静寂の世界と、ルビーが歌うときに溢れ出す豊かな音の世界の対比が素晴らしく、言葉にできない感情が胸に込み上げてきました。

障がいをテーマにしながらも、決して重苦しくなりすぎず、家族の絆、夢を追うことの葛藤、そして青春の輝きが瑞々しく描かれています。とくに、言葉を超えたコミュニケーションのシーンや、ルビーの歌声が家族に「届く」瞬間の美しさは、涙なしには見られませんでした。アカデミー賞作品賞受賞も納得の、見終わった後に心が浄化されるような一作です。

これから楽しみにしている、気になる「ウォッチリスト」

Apple TV+のライブラリには、まだ視聴できていないものの、予告編やあらすじを見て「次はこれを観たい」とリストアップしている期待作がまだまだあります。私の「ウォッチリスト」に入っている作品たちを少しだけご紹介します。

* ロスト・バス:「マシュー・マコノヒー」ファンの私としては観ずにはいられません。山火事から子ども達を救うため、すべてを賭ける。実際の勇敢な行動から着想を得た物語とのこと。今回はどのような迫真の演技を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。
* ウルフズ:ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットの共演というだけで、もう観ない理由がありません。二人の大スターが放つ化学反応と、大人の色気が漂うクライム・サスペンスに期待が高まります。
* ファミリー・プラン:マーク・ウォールバーグ主演のアクションコメディ。家族を守る元暗殺者という設定は、週末にポップコーン片手に気楽に楽しむのにぴったりそうです。
* フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン:アポロ計画を巡るロマンティック・コメディ。スカーレット・ヨハンソンの華やかさと、歴史の裏側という設定に惹かれています。レトロで洒落た映像美も楽しみなポイントです。
* ナポレオン:リドリー・スコット監督が描く英雄の物語。映画館で見逃してしまったので、自宅のスクリーンでじっくりとあの大迫力を堪能したいと思っています。

映画だけじゃない、ドラマシリーズも見逃せない

映画だけでなく、ドラマシリーズの質の高さもApple TV+の隠れた魅力です。最近見始めて、続きが気になって仕方がない作品もいくつかあります。

* シュガー:コリン・ファレル演じる私立探偵のハードボイルドな世界観にたっぷりと浸れます。映像のスタイリッシュさも秀逸でおすすめです。
* ブラック・バード:刑務所を舞台にした心理戦。緊迫感に息が詰まりそうになりますが、役者たちの演技合戦に引き込まれます。
* マスターズ・オブ・ザ・エアー:第二次世界大戦の空軍を描いた大作。映像のクオリティがもはや映画並みで、圧倒的なスケール感です。

週末の夜、上質な物語と共に

かつてレンタルショップで時間をかけて映画を選んでいたように、今はiMacでApple TV+のリストを眺めながら、そのときの気分に合った一本を選ぶ時間が新しい楽しみになっています。作り手の体温が感じられるような作品たち。観終わった後に誰かと語り合いたくなるような、心に静かに降り積もる物語が多いのも、このプラットフォームの魅力だと感じています。

ひとりでじっくり世界に浸るのも、家族と賑やかなひとときを過ごすのも、そして離れていてもSharePlayで一緒に楽しむのも。単身で暮らす家族や遠方に住む友人と「同じ瞬間を一緒に体験」できることは、心に残る映画の思い出をさらに豊かにしてくれます。

まだ体験していない方は、無料トライアルなどを利用して、この上質な物語の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。