ぬか漬け生活10日目。「水分が増えて、ぬかは減る」という事態に直面

ぬか漬け生活10日目。「水分が増えて、ぬかは減る」という事態に直面。  どうする?対処法と、捨てない「旨味活用」の記録

どうする?対処法と、捨てない「旨味活用」の記録

「これはひょっとして・・・よろしくない状態なのでは?」

冷蔵庫の片隅で、今日も静かに息づいているぬか床。その小さな世界を覗いてみると、暮らしが少しだけ豊かになる気がしています。そうブログに綴ったあの日から、早いもので10日が経ちました。

私の生活の中で、豊かになったのは暮らしだけではありませんでした。なんと、ぬか床の「水分」まで豊かになってしまったのです。

いつものようにワクワクしながら、ぬか床パックのジッパーを開けて袋の中を覗き込みました。するとそこには、以前のようなふかふかのベッドではなく、少しタプタプとした湿地のような光景が広がっていたのです。

原因はわかっています。旬の白菜があまりにも美味しすぎて、毎日のように漬け続けてしまったからでしょう。白菜の瑞々しさがしっかりと漬物に移行した結果、ぬか床はトロトロの状態になってしまいました。歓迎されない水分の多さに、思わずたじろいでしまいます。

でも、これも「菌活」や「腸活」という名の小さな冒険の一部。今回は、ぬか漬け生活を始めて間もない私が直面した「水っぽくなったぬか床」と「減ってしまったぬか」のメンテナンス記録をお届けします。

野菜のうまみが溶け出した「水分」と向き合う

野菜をぬか床に漬け込んでいくと、どうしても水が出てきます。これは「浸透圧」という作用によるもので、野菜の細胞内にある水分が、塩分濃度の高いぬか床へと引き出される自然な現象なのだそう。

この水分が出てくること自体は、決して失敗ではありません。むしろ、野菜がしっかりと漬かっている証拠でもあります。野菜の水分が抜けることで、代わりにぬかの旨味や塩分が野菜に入り込み、あの独特の深い味わいが生まれるのです。

しかし、水分が多すぎてぬか床が水浸しになってしまうのは考えものです。水分過多になると塩分濃度が下がり、雑菌が繁殖しやすくなったり、酸味が過剰になったりと、ぬか床のバランスを崩す原因になりかねません。

キッチンペーパーで吸い取るのはもったいない?

私が使っている「熟成ぬか床」の説明書きや、一般的なガイドブックを読んでみると、余分な水分への対処法としてまず書かれているのが、「キッチンペーパーや清潔なスポンジで吸い取る」という方法です。

確かに、それが一番手っ取り早くて衛生的かもしれません。私も最初はキッチンペーパーを手に取りました。でも、ふと思ったのです。「この水分には、野菜の旨味やぬかの栄養がたっぷり溶け込んでいるはず……」

そう思うと、なんだか野菜の命、うま味まで一緒に捨てているような気がして、どうしても躊躇してしまいました。せっかく育てたぬか床の一部を捨てるのは、なんだか忍びない気持ちになります。

旨味たっぷりの水分はお味噌汁へ

そこで作戦を変更することにしました。「捨てずに活用する」方向へのシフトです。

まず、表面に浮いてきて掬える分の水分は、スプーンで丁寧にすくい取り、その日のお味噌汁に入れてみることにしました。これがまた、驚くほど良い隠し味になるのです。ぬか特有の酸味と香りが、お味噌汁に深みを与え、まるで料亭で出てくるような複雑な味わいに変化します。もちろん塩分が含まれているので、お味噌の量はいつもより控えめにするのがポイントです。

乾物を使った「一石三鳥」のテクニック

そして、掬いきれない水分には、乾物の力を借ります。ここで登場するのが「干し椎茸」と「だし昆布」です。
乾物をそのままぬか床に埋め込むだけで、余分な水分をぐんぐん吸ってくれます。それだけではありません。この方法には、なんと3つの嬉しいメリットがあるのです。

1. 水分調整ができる: 乾物が水分を吸って、ぬか床を適度な硬さに戻してくれます。
2. 旨味がアップする: 椎茸や昆布から出る濃厚な出汁がぬか床に移り、次に漬ける野菜がさらに美味しくなります。
3. 具材として食べられる: ぬか床の中で戻った椎茸や昆布は、そのまま刻んで食べたり、料理に使ったりできます。これがまた絶品なのです。

まさに一石三鳥のテクニック。水分トラブルが、むしろぬか床を美味しくするチャンスに変わりました。

また、野菜を漬け込んでいくと、水分が出るのと同時に、野菜がぬか床の塩分を吸収してしまいます。水分調整をした後に、ぬか床の味見をしてみると、塩分が少し足りない感じだったので、小さじ1杯ほどの岩塩も加えました。

いつの間にか減ってしまう「ぬか」の補充

水分問題に目処がついたところで、もう一つの変化に気づきました。

「あれ? なんだか最初より、ぬかの量が減っている気がする」

水分を取り除いたり、あるいは野菜を取り出したりしているうちに、ぬか床の絶対量が少しずつ減ってしまっていたのです。野菜を掘り起こすたびに、愛しいぬかたちが少しずつ外の世界へと旅立ってしまっていたのですね。

ぬか床が減ってきて野菜が隠れなくなったり、味が薄くなったり、あるいは今回のように水っぽくなってきたりした時は、「足しぬか」の出番です。

新しいぬかと塩、場合によっては水を加えて、減った分を補うメンテナンス作業。そうやって手をかければかけるほど、ぬか床は健やかに長生きしてくれるのでしょう。まるで愛猫や愛犬のお世話をしているような、温かい気持ちになります。

手軽で便利な「足しぬか」を活用

「足しぬか」と聞くと、生の米ぬかを精米所で貰ってきて、塩や唐辛子を調合してと、少しハードルが高く感じるかもしれません。でも、今の時代にはとても手軽で便利なアイテムがあります。

私が今回スーパーで購入したのは、「熟成ぬか床」専用の「たしぬか」という商品です。また、同じくコーセーフーズから出ている「冷蔵庫で育てる熟成ぬか床」にも、専用の補充用足しぬかがあり、こちらはAmazonなどで手軽に購入できます。

失敗知らずの配合済み「ぬか床」パック

この市販の「たしぬか」の素晴らしいところは、最初から塩や旨味の素材が絶妙なバランスで配合されている点です。つまり、この商品を足すだけで味が整うのです。自分で塩加減を調整して「しょっぱくなりすぎた!」なんて失敗をする心配もありません。追加で塩を加える必要がないのは、はじめての人や慣れない人にとって本当に心強いですよね。パッケージも「チャック式」になっているため、一度に使い切る必要がなく、回数を分けて使用できますし、保存も簡単です。

実際に足しぬかをしてみる

手順はとてもシンプルです。

1. たしぬかを計量カップ1杯ほど、ぬか床に加えます。
2. 全体をよくかき混ぜます。
3. この時、ぬか床の固さを確認します。理想は「耳たぶほどのやわらかさ」。
4. もし固すぎると感じたら、水を少しずつ足しながら調整します。逆に緩い場合は、ぬかだけを足して混ぜ合わせます。

もう十分かなと思っても、少し置くと水分がじんわりあがってきたので、様子を見ながら少しづつ足していきました。粉末状のぬかが水分を吸って、トロトロだったぬか床が少しずつふかふかの感触を取り戻していく様子は、見ていてとても気持ちが良いものですね。

残ったたしぬかは湿気を吸わないよう、袋のチャックをしっかりと閉じて冷蔵庫で保管。一度開封したぬか床パックを常温で放置すると、せっかくのぬかが痛んでしまう可能性があるそうです。

手をかけた分だけ愛おしくなる私のぬか床

今回のトラブル対処として、私は以下のようなステップを踏みました。

1. 表面に浮いた水分を掬って、お味噌汁に入れて美味しくいただく。
2. 市販の「たしぬか」をプラスして、ぬかの量と塩分バランスを整える。
3. ぬか床の底に残った水分調整は、干し椎茸とだし昆布にお任せする。

この一連のメンテナンス作業を終えた後のぬか床は、以前よりもなんだか頼もしく、香りも一層良くなった気がします。嬉しくなったついでに、ぬか床を小さな容器に少し分けて、大豆やひよこ豆、レッドキドニー(赤インゲン豆)などの豆類と、セロリをぬか漬けにしてみることに。美味しく漬かりますように。白菜はちょっとだけお休みです。

ぬか漬け生活10日目にして直面した「水分過多」と「ぬか減少」の壁。最初は驚きましたが、こうして手を動かしてメンテナンスをすることで、ぬか床への理解がより深まりました。

ただ野菜を入れて待つだけではない。変化に合わせて手を加え、環境を整えてあげる。その対話のようなプロセスこそが、ぬか漬けの本当の楽しさなのかもしれません。

冷蔵庫を開けるたびに感じる、ほんのり酸っぱいぬかの香り。私の菌活ライフは、まだ始まったばかりです。これからどんな美味しい野菜が漬かるのか、そしてぬか床がどんな風に育っていくのか、楽しみで仕方ありません。

皆さんも、もしぬか床の水分に悩まされたら、ぜひ「捨てない選択」で、旨味たっぷりの菌活ライフを楽しんでみてくださいね。