
あらゆる方法を試した体験談と、たどり着いた「あきらめる勇気」という選択肢
手を洗い、その手を拭こうとタオルをふわりと持ち上げる。その向こう側、タオルの裏に隠れていた壁紙に、何かが飛び散って滲んだような、そんな赤茶色のようなシミがあることに気がつきました。・・・正直に打ち明けると、今日気づいたわけではありません。かといって見て見ぬふりをしてきたわけでもないのです。毎回のトイレ掃除のときには、クリーナーでシュシュっと湿らせたトイレットペーパーで、それなりにしっかりと拭いていたんです。
でも、一向に取れる気配のないそのシミに「いつか本腰を入れて退治しよう」と思いながら、気づけばカレンダーは数枚めくられ、とうとう年の瀬の今になってしまいました。大掃除という言葉がチラつくこの時期、私の重い腰もようやく持ち上がったというわけです。
今日は、私がその謎の赤シミと格闘した記録と、試してみた方法、そして最終的にたどり着いた少し意外な結論についてお話ししようと思います。大掃除を済ませた方も多いと思いますが、「忙しかったからこれからお掃除に取り掛かるよ」という皆さんの、ほんの小さなヒントになれば、私も(報われ・・・いえ)嬉しいです。
原因とシミの種類
まず、敵を知ることから始めなければなりません。この赤茶色のシミ、一体何者なのでしょうか。最初はただの水ハネかと思っていたのですが、普通に拭いてもびくともしないし消えてもいかない頑固な赤茶色。考えられる原因を頭の中でリストアップしてみました。
水回り特有の水アカなのか、それとも手から飛んだ皮脂汚れなのか。あるいは、水道管からの微細なサビが混じっているのか、はたまた湿気による微生物や赤カビの一種なのか。
原因が特定できない以上、手当たり次第に試してみるしかありません。これまで使っていた除菌クリーナーや、家中の掃除で大活躍してくれるウタマロクリーナーでは歯が立ちませんでした。もしかすると、汚れと洗剤の成分が合っていないのかもしれません。そこで私は、キッチンにある洗剤たちを総動員することにしました。
作戦は「パックして、ふやかす」です。汚れを浮かせて落とす、お肌のケアと同じような発想ですね。まずはキッチンペーパーを小さく切り、壁紙のシミの上に貼り付けます。そこに洗剤を吹きかけて、15分から20分ほど放置するという方法です。
試してみたクリーナーたち
少しお見苦しい写真がちらほらと混ざりますが、どうかお許しを。
最初に試したのは、やはり頼れるウタマロクリーナー 。中性洗剤の代表選手として期待をかけましたが、パックを剥がしてみると、シミは涼しい顔でそこに居座っていました。このシミはさすがのウタマロでも敵わない「しつこい汚れ」の部類になるのでしょう。


次は「汚れがアルカリ性なら酸性で」という理科の実験のような発想で、クエン酸水を試します。水アカやアンモニア臭には効くはずですが、今回はあまり効果が見られません。それなら逆を攻めようと、油汚れに強いアルカリ電解水を使ってみても、結果は変わらず。

食器用洗剤も試してみました。シミの濃い部分が少し薄くなったような気がしますが、消えたというにはほど遠く。

最終手段として、漂白剤を薄めたものを慎重に塗布してみましたが、壁紙の色落ちが怖くて早めに切り上げたせいか、劇的な変化はありませんでした。


洗剤だけでは太刀打ちできないのなら物理的な作戦に
洗剤の力だけで落ちないのなら、次は物理的なアプローチです。パックで汚れが多少ふやけているはずのタイミングを見計らい、メラミンスポンジを取り出しました。薄めた食器用洗剤に浸し、強くこすると壁紙の凹凸が削れてしまうので、円を描くように優しく、優しく。
それでも落ちないので、次は歯ブラシの出番です。壁紙のエンボス加工(デコボコ)の隙間に汚れが入り込んでいるのかもしれません。毛先を使って、凹凸に沿うように小刻みに動かしてみます。仕上げにマイクロファイバークロスでしっかりと拭き取りますが、うーん、まだうっすらと赤い影が残っています。
ここでふと、ネットで見かけた「壁紙の汚れには消しゴム」という裏技を思い出しました。文房具の消しゴムで、残ったシミをこすってみます。確かに、表面についた黒ずみのような汚れならこれで落ちることも多いのですが、今回の相手はなかなかの強敵でした。
シミと格闘した結果「これでヨシ」とする
こうしてシミと向き合うこと数時間。私の左腕につけたApple Watchは、掃除による微々たるカロリー消費を記録してくれましたが、肝心のシミは完全には消えてくれませんでした。これだけやっても落ちないということは、おそらく汚れが壁紙の表面に乗っているのではなく、色素が素材の奥深くまで染み込んでしまい、沈着してしまっているのでしょう。

もちろん、業務用の強力な洗剤を使えば落ちるのかもしれませんし、壁紙用の補修ペイントで塗りつぶすという手もあります。でも、ふと冷静になってタオルの位置を戻してみると、シミは綺麗に隠れて見えなくなりました。「なんだ、これでもいいじゃないか」と、肩の力が抜けた瞬間です。
掃除というと、つい「新品同様にピカピカにすること」を目指してしまいがちです。けれど、生活していれば傷もつくし、落ちない汚れも出てきます。それは、この家で暮らしてきた時間の証とも言えるのかもしれません。「タオルに隠れるから、これでヨシとする」。そうやって自分にOKを出してあげることも、長く心地よく暮らしていくための大切なテクニックなのだと思います。
薄くなったとはいえ、まだそこにいるシミ。でも、精一杯戦ったあとのシミは、なんだか以前より憎めない存在になりました。たとえば、来年の大掃除でまた気が向いたら戦ってみようかな、くらいの緩やかな気持ちで、今年の大掃除を終わりにしたいと思います。
皆さんも、どうしても落ちない汚れに出会ったら、そっと見なかったことにして蓋をする勇気を持ってみてくださいね。案外、それだけで心はスッキリするかもしれません。