
使ってみると「あら便利!」鼻先タップと、3つのモードの使い分け
忙しくしていてフィットネスクラブに行けない日が続くと、夜明け前の早朝、ひと気がない静かな時間帯に河川敷公園へとジョギングやスロージョグに出かけます。
夏の朝なら5時頃にはすっかり明るいけれど、同じ時間でも冬では真夜中のように真っ暗です。暗くて寒いけれど澄んでいる空気。自分の呼吸と足音と、そしてテンポをサポートしてもらうためのミュージックを聴きながら、淡々と走り込む時間。それは、有酸素運動マシンのトレッドミルやクロストレーナーとはまた違った心地よさがあります。
いつものようにゼエハアと息を切らしながらも、清々しい汗を流して帰宅。ポケットから鍵を取り出しつつ、Apple Watchの画面を鼻先でちょんとタップして、スリープを解除します。「ヘイSiri、フラッシュライトを点けて」と声をかけるとふわっと明るくなり、玄関の鍵穴を照らしてくれる。これが、私のジョギングルーティンの締めくくりです。
しかもこのApple Watchのフラッシュライトは、画面が明るく光るだけではないんです。手首を自分の方に向けるとライトの輝度が抑えられてほんのり暗くなる。眩しい光を向けられると一瞬目がくらんでしまいますが、そんな不意うちのような目潰しに遭うこともありません。まるで私の意図を汲み取ってくれているかのような賢さです。
iPhoneでおなじみの懐中電灯アイコン「フラッシュライト」機能。Apple Watchのコントロールセンターにもさりげなく置かれていることにお気づきでしょうか。「そういえば、そんなのあったね」なんて思われていそうな地味めな存在かもしれません。「iPhoneで照らせば事足りる?」いやいや、Apple Watchだからこそ活きるシーンが、じつは意外とよくあるのです。
小さな画面が放つ、頼もしい光りと小さな灯り
Apple Watchフラッシュライトの使い方はとてもシンプル。サイドボタンを押して、コントロールセンターを出し、懐中電灯のアイコンをタップするだけ。これだけで、手首が小さなランタンに早変わりします。その小さな画面が放つ灯りは驚くほどの明るさで、煌々とあたりをしっかり照らしてくれるのです。
私がこのフラッシュライトの良さに気づいたのは、キッチンで夕飯の準備をしているとき。炊飯器やオーブンレンジ、IHクッキングヒーターなど電化製品を同時にフル稼働させてしまい、ブレーカーが落ちて真っ暗闇に。揚げ物をしている途中だったので、両手は小麦粉にまみれています。両手も使えない暗闇の中、思い出したのがApple Watchの懐中電灯、フラッシュライト機能でした。
このときに思いついたのが、あの“鼻先タップ”の技でした。スリープ解除は、「手首を上げて」に設定していますが、なるべくバッテリーを保てるように「シアターモード」もオンにしているため、私のApple Watchでは、画面に触れることでスリープが解けるようになっています。iPhoneのSiriに頼むこともできますが、あいにくポケットに入れていたので照らすこと叶わず。この時ばかりは、左手首のApple Watchがいつも以上に頼もしく感じられました。
明るさの調整はダイヤル型のデジタルクラウンを回します。たとえば、夜の散歩中に物を落として足元をしっかり照らしたいときは、ダイヤルを下へ。寝室で隣に寝ている家族を起こさずにメガネを探したいときは、ダイヤルを上へ回して柔らかい明るさにします。
暗闇から探し物を見つけたら、デジタルクラウンを再度押すか、文字盤の上部から下にスワイプして、フラッシュライトを消します。もちろん懐中電灯アイコンを再度タップすることでも、Siriに「フラッシュライトを終了して」と話しかけることでも、閉じることができます。
近くにiPhoneがあると、どちらのSiriも「なんでしょう?」と耳を澄ませて応答してくれます。そこで「フラッシュライトを点けて」と言うと、Apple Watchの方ではなくiPhone側のフラッシュライトが点くので、Apple Watchだけを点灯させたいときは「Apple Watchのフラッシュライト」と忘れずに付け加えてあげましょう。
その時々に寄り添う、3つの光のモード
Apple Watchのフラッシュライトには、状況に応じて使い分けられる3つのモードがあることをご存知でしょうか。画面を横にスワイプするだけで切り替えられるのですが、これがまた面白いのです。
1. 白い光
まずは、基本となる白く点灯する光です。このモードは一番よく使う、もっとも“ふつう”の明かりかもしれません。フラッシュライトを起動すると最初に表示されるのがこのモードではないでしょうか。日常のちょっとした探し物や足元確認にぴったりです。
たとえば暗い廊下を歩くときや、ベッドの下に落ちたものを探すときなど、とにかく明るさが欲しいときに活躍します。Apple Watchの小さな画面から放たれるとは思えないほどの光量があり、足元をしっかりと照らしてくれます。
2. 点滅する白い光
画面を左にスワイプすると現れるのが、一定のリズムでピカピカと点滅するモードです。この点滅モードは、自分の存在を周りに知らせたいときにとても役立ちます。
たとえば、夜間のランニングやウォーキング中。街灯が少ない道を歩くとき、車や自転車に対して「ここに人がいますよ」と知らせることができるので、安全対策としてとても優秀です。
じつは、今では笑い話になっているのですが、私はジョギング中に自転車に追突されて、文字どおり「吹き飛んだ」ことがあります。そのとき脳裏に流れたのは人生の走馬灯ではなく、なぜかラピュタのあのシーン「バルス!」だったという。幸い大きなケガではなかったのですが、それからは河川敷ではなく街中を走る場合、必ずこの点滅モードを点けることにしています。
また、こんなこともありました。知人の家でホームパーティーをした帰り、タクシーを呼ぼうとしたのですが、通りが少し暗くてドライバーさんが私に気づいてくれるか不安でした。そこで、点滅モードにして手を振ってみたんです。すると、遠くから走ってきたタクシーがすぐにハザードを出して停まってくれました。「その時計の光、遠くからでもよく見えましたよ」とドライバーさんに言われ、なんだか誇らしい気持ちになったのを覚えています。
3. 赤い光
そして、最後に現れるのが、ちょっと意外な「赤い光」です。最初は「なぜ赤色なの?」と不思議に思いました。でも、使ってみるとその細やかな配慮に感動すら覚えます。赤い光は、暗い場所でも眩しすぎず、目に優しいと言われています。「シアターモード」をオンにしている私は、フラッシュライトを起動するとこの赤い光がデフォルトで灯ります。
たとえば、映画館で落とし物をしてしまったときや、夜中に目が覚めてしまったけれど強い光を浴びて完全に覚醒したくないとき。そんなシチュエーションで、この赤い光が優しく手助けしてくれます。暗闇に慣れた目を刺激しにくいという特徴があるらしく、天体観測をする方にとっても、暗順応(目が暗闇に慣れること)を妨げにくいと重宝されているそうです。
以前、友人の家に泊まった際、夜中に喉が乾いてキッチンへ向かうときにこのモードを使いました。友人を起こすことなく、静かに水を飲むことができたとき、「なんて優しい機能なんだろう」と、Apple Watchがさらに愛おしくなりました。ただ、暗闇の中、赤い光に照らされた私の顔を友人が見かけたとしたら・・・それは軽くホラーだったかもしれませんね。想像して少し笑ってしまいました。
手首に小さな灯りがある安心感
鍵が見つからないと深いバッグの底を照らすとき、映画館でハンカチを落としたとき、愛猫や愛犬の寝顔を見るとき。日常を見渡せば「灯りがあればな」と思うシーンってわりとあるものですよね。
「iPhoneにもライトがあるのに、Apple Watchを使う意味ってあるの?」と思っていた私ですが、Apple Watchならではの強みはやはり、「ウェアラブルデバイス」、身につけているところにあると思います。
Apple Watchのフラッシュライトの良さに気づかせてくれた停電の瞬間。「光が欲しい」と思ったその瞬間、両手がふさがっていても、ポケットを探ることなく、手首から明かりが灯る。このスピードと確実性が、ちょっとした心の余裕を生んでくれています。
Apple Watchをお持ちなら、ぜひその小さなランタンを灯してみてください。手首に小さな灯りがある安心感。それはきっと、手元や足元だけでなく、毎日の暮らしも明るく温かく照らしてくれると思います。