
Macで写真を編集する。カラー補正、レタッチ、トリミング、不要なものを消して、失敗写真を蘇らせる
「すごくいい表情をした瞬間だったのに、微妙にピンボケしてる?」
「最高のロケーションだったのに、もしかして傾いてる?
「弾ける笑顔が眩しかったのに、逆光で顔が少し暗いかも?」
iPhoneで撮ったたくさんの思い出の写真。iPhoneの画面で見ているときは気にならなかったのに、Macの大きな画面で見返したとき、「こんなはずじゃなかった」そんな失敗写真を発見して、思わず天を仰ぐ。
前回の記事では、あちこちに散らばった写真の整理術についてお話ししました。フォトライブラリがすっきり片付くと、心まで軽くなるような気がしますよね。でも、整理をしている最中に失敗写真を見つけてしまったら・・・ゴミ箱アイコンへドラッグするのを、ちょっとだけ待って。もしかすると、そんな諦めかけていた「惜しい写真」をMacの「写真」アプリで救出できるかもしれないのです。
整理術では、写真をワンクリックで補正する”整える”機能について軽く触れましたが、今回の記事では、もう少し踏み込んだ編集の世界。写真の補正・修正・加工といった「写真」アプリ編集機能の全貌を、使い方やコツとともにお伝えしていきたいと思います。写真編集は私にとってとても楽しい作業。皆さんもぜひ、Split Viewで「写真」アプリとこの記事を並べて、実際に触りながら進めてみてください。
Step 1. 編集モードへの入り方と、基本の操作
操作はシンプルです。ライブラリから編集したい写真を選んでダブルクリックで大きく表示させ、画面右上にある「編集」ボタンをクリックするだけ。これでMac画面が編集スタジオに早変わりします。
画面の構成もAppleのインターフェースらしく直感的なものです。画面上部にあるタブは主に4つ。「調整」「フィルタ」「切り取り」「クリーンアップ」です。これらを切り替えて作業を進めます。
Macの「写真」アプリは「非破壊編集」を採用しているので、どれだけ色のバランスを変えても、トリミングしても、いつでもワンクリックで「オリジナルに戻す」ことができます。つまり、失敗という概念がここにはありません。「ちょっとやりすぎたかな?」と思ったら、すぐに時間を巻き戻せるので、安心して思う存分、冒険してみることができます。
編集の作業中に、「元の写真はどうだった?」と確認したくなったら、キーボードの「M」キーを長押しします(または左上の白と黒の四角い「比較」ボタン)。押している間だけ編集前の状態が表示されます。「おお、こんなに良くなってる!」と変化を実感できるこの瞬間が、編集作業の醍醐味でもあります。
Step 2. まずはここから!ワンクリックでできる「自動補正」
「編集に時間をかけられない」「どこをどう直せばいいのか見当もつかない」。そんな時は、迷わず「自動補正」に頼ります。ツールバーにある、キラキラと輝く杖のアイコン(自動補正ツール)をクリックすると、Macが搭載するAIが、写真の明るさ、コントラスト、色味を瞬時に解析し、その写真にとって最適と思われる状態に整えてくれます。
たとえば、少し薄暗い室内で撮ったランチの写真。自動補正をかけた瞬間、お皿の白さがパッと明るくなり、料理の彩りが鮮やかに引き立つ。まるで曇っていた窓ガラスをサッと拭き上げたように、視界がクリアになる感覚です。もちろん、これがゴールではありませんが、編集のスタートとしては最適です。まずは自動補正で大まかなバランスを整え、そこから手を加えていくのが、効率よく美しい一枚仕上げるコツのひとつです。
Step 3. 写真の構図を整える「切り取りと回転」
写真は「引き算」の芸術だと言われます。画面の中に余計なものが写り込んでいると、本当に見せたい主役の印象が薄れてしまうからだそうです。プロの方いわく写真の印象は「構図」で9割決まるのだとか。そうと聞いたら「切り取り」タブで構図を整えずにはいられません。
傾き補正で安定感を:水平線が斜めになっている海や地平線は、無意識に落ち着かないもの。右側の「傾き補正」スライダーを操作(または「自動」をクリック)して、水平をピシッと合わせてみてください。それだけで、写真にプロっぽい安定感が生まれます。また、真正面からまっすぐ撮影した写真でも、左右や上下どちらかが小さく写って斜めに見える写真は「縦方向」や「横方向」で調整します。面白い機能なので試してみてください。
トリミングで主役を強調:「もっと寄って撮ればよかった」という後悔も、トリミングで解決です。写真の外枠を移動させて周囲の余白をカット、被写体をグッと大きく切り取ります。この時、右側の「アスペクト比」メニューを使うのもおすすめ。「スクエア」を選べばInstagram風に、「16:9」なら映画のような広がりのある構図になります。隅っこに思いがけなく不要なものが写り込んでいたときにも同じ方法でトリミングができます。
反転の遊び心:意外と知られていないのが「反転」機能。鏡に映したように画像を左右反転させます。たとえば私は、夕焼けを眺める人物を右側に置いた構図で撮ったけれど、「左側の方がよかったかな」というときに活用しています。人の顔や風景の印象がガラリと変わるので、構図に行き詰まった時のスパイスとしても試してみる価値ありです。
Step 4. 写真の雰囲気を一瞬で変える「フィルタ」加工
写真の色味は、その時の「空気感」や「感情」を伝える重要な要素。「フィルタ」タブには、Apple厳選の洗練されたフィルタが並んでいます。「ビビッド」を選べば、晴れた日の空や花畑がより鮮烈な印象に。「ドラマチック」を選べば、陰影が強調されて重厚な物語のワンシーンのように。そして「モノクロ」には、硬質な「シルバートーン」や柔らかい「ノアール」など、白黒写真だけでも数種類のバリエーションが用意されています。
ここでのポイントは、フィルタを選んだ後に表示されるスライダーです。フィルタを適用しただけでは「いかにも加工しました」という不自然さが出ることがあります。スライダーを動かして適用度(強度)を少し下げ、元の写真の良さとフィルタの味わいが馴染むポイントを探ってみてください。さりげない隠し味のように使うのが、大人なフィルタの嗜み方です。
Step 5. 光と色を自在に操る「調整」ツールの詳細
ここからは、少しディープな「調整」タブの世界へご案内します。右サイドバーにずらりと並んだ項目とオプションを見て、めまいを起こさないでくださいね。すべてを使う必要はありません。まずは、効果がわかりやすく実用的なものから触ってみましょう。iPhoneユーザの方に向けて以前作成した、補正効果を画像一覧で見る「比較画像の早見表」も参考にしつつ、Macならではの大画面と操作性を活かした写真編集を楽しんでみてください。
ライト(明るさ)
・露出:写真全体の明るさを上げ下げします。
・ブリリアンス:これが非常に優秀です。暗い部分は明るく、明るすぎる部分は抑えめに、賢く調整してくれます。迷ったらまずはこれを触ってみてください。
・シャドウ:逆光で顔が暗くなってしまった時に、このスライダーを右に動かすと、影になった部分だけが明るく持ち上がります。背景の青空はそのままに、人物の表情だけを救出できる、頼れる機能です。
カラー
・彩度・自然な彩度:色の鮮やかさを調整します。
・キャスト:写真全体の色被りを補正します。たとえば、料理写真などで「美味しそう」に見せたいときは「キャスト」を調整して少し温かみ(暖色)を足してあげると効果的です。
ホワイトバランス
室内で撮った写真が妙に黄色かったり、曇りの日の写真が青っぽかったりすることはよくあります。そんなときは「ホワイトバランス」のアイドロッパー(スポイト)ツールを使ってみてください。写真の中の「本来ならグレー(または白)であるはずの場所」をクリックすると、それを基準に全体の色味が自然な状態に補正されます。
Step 6. ピンボケとノイズ対策は「シャープ」と「ノイズ除去」
さて、今回のメインテーマでもある「ピンボケ写真」の救済です。ここで活躍するのが「シャープ」と「ノイズ除去」の項目です。
シャープネスで輪郭を際立たせる:ピントが甘く、なんとなく眠たい印象の写真には「シャープ」を使います。「強度」を上げていくと、被写体の輪郭がくっきりとしてきます。ただし、上げすぎると画像がザラザラして不自然になるので、「エッジ」のスライダーと合わせて、あくまで自然に見える範囲で止めるのがコツです。完全にボケてしまった写真を完璧なピントに戻すことは物理的に難しいですが、「味のあるソフトフォーカス」から「意図的な作品」へと昇華させることは十分に可能です。(※記事の最後に参考画像があります)
暗所撮影のザラつきにはノイズ除去:夜景や暗い室内で撮った写真にありがちな、砂を撒いたようなザラザラ(ノイズ)。「ノイズ除去」スライダーを少し上げると、このザラつきが消えて滑らかな質感になります。これもやりすぎると、肌や服の質感が失われてのっぺりとした塗り絵のようになってしまうので、ほどほどに。
ビネットで視線誘導:仕上げに「ビネット」を少し加えてみてください。写真の四隅をほんのりと暗くすることで、視線が自然と中心の被写体に集まり、ピンボケ感が目立ちにくくなるという視覚効果も期待できます。ピンボケ写真だったおかげで雰囲気のあるソフトな一枚に仕上がるという嬉しい誤算になることも。
Step 7. 不要なものを消すなら「レタッチ」で修正
風景写真に写り込んでしまった電線や、人物の肌にできた小さなニキビ。これらを「なかったこと」にできるのが「レタッチ」ツール(絆創膏のアイコン)です。この機能が新しく追加されるまでは、専用のレタッチアプリで消してから「写真」アプリで補正していましたが、そのひと手間がなくなってよりスムーズに編集できるようになりました。
使い方は驚くほど簡単。スライダーでブラシのサイズを消したいものより少し大きめに設定して、ポンとクリックするか、ドラッグでなぞるだけ。すると、Macが周囲の背景を自動で解析、「ここには最初から何もなかった」ように自然に埋めてくれます。
これは「コンテンツに応じた塗りつぶし」と呼ばれる高度な技術なのですが、私たちは難しい理屈を知らなくても、ただなぞるだけでその恩恵を受けられます。意図せず写り込んでしまった横切る人を消したり、テーブルの上のパン屑を消したりと、使い道は無限大。消しゴム感覚で使えるこの機能は、本当に便利で助かります。(※記事の最後に参考画像があります)
Step 8. プロ仕様の「カーブ」と「レベル補正」
もし、これまでの調整だけでは物足りないと感じたら、少し背伸びをして「カーブ(トーンカーブ)」や「レベル」補正に挑戦してみましょう。これらはプロのフォトグラファーも愛用する強力なツールです。とはいっても「写真」アプリでの操作はとても簡単です。
カーブ:「カーブ」は、斜めの直線をマウスで掴んで曲げることで、明るさとコントラストを同時に調整する機能。グラフのような線が表示され、難しそうに見えますが、基本は線を「S字」にする方法です。線の右上(明るい部分)を少し上げ、左下(暗い部分)を少し下げることで、緩やかなS字を作ります。こうすると、明るい部分はより明るく、暗い部分はより引き締まり、写真全体にメリハリ(コントラスト)が生まれます。
レベル:「レベル」補正は、ヒストグラム(山のようなグラフ)を見ながら、グラフの下にある○を掴んで左右に移動させることで、一番暗い部分(黒レベル)と一番明るい部分(白レベル)を指定し直す機能。全体的にモヤがかかったようなグレーっぽく霞んだ写真も、黒レベルのポイントをグラフの山の麓まで寄せることで、霧が晴れたようにキリッと引き締まった写真に生まれ変わります。
Step 9. 効率化テクニック:編集内容のコピー&ペースト
旅行先などでは、同じ場所、同じ光の加減で何枚も写真を撮ることが多いですよね。そんなとき、1枚ずつすべて編集するのは大変な作業です。そこで役立つのが「編集内容のコピー&ペースト」です。
完璧に補正できた1枚を選んでメニューバーの「画像」から「編集内容をコピー」し、同じシチュエーションで撮ったほかの写真を選んで「編集内容をペースト」するだけ。これで、先ほどコツコツと調整した明るさや色の設定が、一瞬でほかの写真にも適用されます。大量の写真を現像するような気分を味わえて、時短にもなる素晴らしい機能です。
諦めていた写真が、思い出の「作品」に変わる
視力のせいか、iPhoneカメラで撮影して「よし、素敵な写真が撮れた」と喜んで帰宅し、Macで見てみるとピンボケだったということがよくあります。もう撮り直すことができない大切な瞬間。そんなピンボケ写真を「シャープ」機能で救われたことが数えきれないほどあります。それどころか、そのときに感じた空気感や抱いたイメージにより近づけて仕上げることができる。MacでもiPhoneでも「写真」アプリで編集する作業は、私にとって心地よい憩いの時間になっています。
ピンボケしてしまった失敗写真も、暗くて顔が見えない残念な写真も、トリミングで構図を整え、明るさを調整し、シャープネスでピントの甘さを補う。たったそれだけで、ゴミ箱行き寸前だった写真もくっきり鮮やかに蘇ったり、SNSでシェアしたくなるような「作品」に生まれ変わる可能性があります。スライダーを動かしているうちに、「お気に入りの色めや雰囲気に出会えた」そんな新しい発見もあります。
もし、「なんとかできたらいいな」と思っている大切な思い出の写真があるのなら、こうしたらいいかな、ここをこうするといいかも・・・そんなふうに思う存分試行錯誤して、写真編集を楽しんでみてください。その写真は、気づけばきっと、その思いが映った素敵な一枚に仕上がっていると思います。
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参考画像です。こちらはピンボケ画像。(分かりやすいピンボケ写真を持っていなかったのでストームトルーパーで失礼します)

そしてこちらは「シャープ」補正したもの。

最後に「リタッチ」で修正したもの。
