
時短だけじゃない、フィスラー圧力鍋とバリラを使った茹で方を解説
みなさん、パスタはお好きですか?私は大好きです。
忙しい日のランチや、ちょっと手抜きをしたい夜ごはんの救世主でもありますよね。でも、パスタを茹でるのって意外と手間がかかると感じたことはありませんか?たっぷりのお湯を沸かすのに時間がかかりますし、夏場なんてキッチンがサウナ状態になってしまうこともあります。
「もう少し時短できないかな?」
そんなふとした思いつきが、私のパスタ人生(少し大げさですね)を大きく変えることになりました。きっかけは、キッチンの棚で少し窮屈そうにしていた圧力鍋と目が合ったことです。「これを使えば、圧力をかける分、早く茹で上がるのでは?」という、ごく単純な発想でした。
さっそく試してみると、時短どころの話ではありませんでした。鍋の蓋を開けて湯切りをし、一本味見をした瞬間、思わず「えっ!」と声が出てしまったのです。
そこにあったのは、いつも食べている乾燥パスタとは似ても似つかない、驚くほど「もちもち」とした食感のパスタでした。しかも、ただ柔らかいだけではありません。表面は「プリッ」と心地よく引き締まっていて、噛むと押し返してくるような弾力があるのです。
まるで、お店で食べる生パスタのような、あるいはそれ以上の感動。普通のお鍋で茹でたものや水に浸したもの、フライパンで蒸し茹でするワンパンとはまったくの別物でした。
これはきっと、私と同じようにパスタを愛するみなさんにとっても、嬉しい発見になるはず。そう確信して、今日は私がたどり着いた「圧力鍋パスタ」の方法を、少し詳しくお話しさせてください。特別な材料は何もいりません。いつものパスタと、いつものお塩、そして圧力鍋があればすぐに始められます。
なぜ圧力鍋だと美味しくなるの?偶然が生んだ食感の秘密
そもそも、なぜ圧力鍋で茹でると美味しくなるのでしょうか。最初は「早く火が通る」ことだけを期待していたのですが、どうやら秘密は温度にあるようです。
通常のお鍋で茹でる場合、お湯の温度は100度止まりですよね。でも、圧力鍋の中では気圧が高まるため、沸点が上がり、100度以上の高温で加熱することになります。この高温と圧力が、パスタのデンプン質にこれまでとは違う変化(糊化といいます)をもたらしているようなのです。
専門的な化学の話はさておき、感覚としては「水分をギュッと中心まで閉じ込めながら、一気に火を通す」というイメージでしょうか。
その結果、中心部はもっちりとした粘り気が生まれ、外側は高い圧力で引き締められてプリプリになる。このコントラストが、口に入れたときの「!」という驚きにつながるのだと思います。はじめて食べたときのあの感動は、今でも忘れられません。
私の愛用ツールたち:美味しいパスタを作る3つの相棒
さて、この「もちプリ」パスタを作るために私が使っている、頼れる相棒たちをご紹介します。道具や材料が変われば仕上がりも少し変わるかもしれませんが、ひとつの目安として参考にしてみてくださいね。
1. 圧力鍋:Fissler(フィスラー)ビタビットプレミアム 4.5L

私が愛用しているのは、ドイツ製のフィスラー、ビタビットプレミアム というシリーズの4.5Lサイズです。
このお鍋の好きなところは、なんといってもその精度の高さと安心感。圧力鍋というと「シュッシュッ」という大きな音が怖くて苦手、という方もいるかもしれませんが、このお鍋はとても静かです。
そして、圧力がかかっている状態を信号機のような色(赤・黄・緑)で教えてくれるので、火加減の調整がとても直感的。今回のパスタ作りでは、3段階ある圧力設定のうち、真ん中の「中圧(設定2)」を使っています。この絶妙な圧力が、パスタを美味しくするポイントなのかもしれません。
2. パスタ:Barilla(バリラ)No.4(1.6mm)

パスタといえばこれ、という方も多いのではないでしょうか。イタリアの家庭の味、バリラです。
私が選んでいるのはNo.4、太さが1.6mmのタイプです。細すぎず太すぎず、どんなソースにも合わせやすい万能選手ですね。バリラはもともとコシが強くてアルデンテを作りやすいパスタですが、圧力鍋との相性が抜群に良いのです。
1.4mmなどの細いパスタだと少し柔らかくなりすぎてしまう気がしますし、もっと太い麺だと茹で時間の調整が少し難しい。試行錯誤の結果、このNo.4が一番「もちプリ」感を楽しみやすいという結論に至りました。
3. 塩:アルペンザルツ岩塩

茹で汁に入れるお塩にも、少しだけこだわっています。使っているのはドイツアルプスで採れた岩塩、アルペンザルツです。
粒がサラサラしていて溶けやすく、何より塩角がなくてまろやか。パスタに下味をつける役割はもちろんですが、カルシウムを含んでいるせいか、麺のコシを助けてくれるような気がしています。
失敗知らず!パスタを「プリッともちもち」に茹でる簡単ステップ
それでは、いよいよ実践編です。手順はとてもシンプルですが、いくつか小さなコツがあります。それを守るだけで、いつものキッチンがイタリアのトラットリア(大衆食堂)に早変わりしますよ。
ステップ1:圧力鍋でお湯を沸かす
まずは圧力鍋に水1リットルを入れて火にかけます。
普通のパスタ茹でと違う嬉しいポイントは、水の量が少なくて済むことです。パスタ全体が浸かる量があれば十分なので、大きなお鍋なみなみにお湯を沸かす必要はありません。これだけでも、沸騰までの待ち時間が短縮されて助かりますよね。
ステップ2:塩を適量入れる
お湯が温まってきたら、お塩小さじ1杯を入れます。
私はいつも目分量なのですが、水1リットルに対して小さじ1程度を入れました。圧力鍋では通常よりも少ない水で茹でるので、お湯に対する塩分濃度が高くなりすぎないよう、いつもの感覚より少し控えめに入れて味見をすると失敗がありません。この塩気がパスタの甘みを引き立ててくれます。
ステップ3:お湯が沸いたらパスタを投入
お湯がグラグラと沸騰したら、パスタを入れましょう。
ここでひとつ注意点があります。圧力鍋は通常、普通のお鍋よりも直径が小さいことが多いですよね。長いパスタをそのまま入れると、はみ出してしまいます。
大きな圧力鍋なら、そのままパスタを入れてしばらく待つと自然に浸かっていきます。急いでいる時には半分に折って入れることも。「パスタを折るなんて」と思われるかもしれませんが、家庭で食べる分には食べやすくて良いものですし、何より「均一」にお湯に浸かることが重要です。
ステップ4:お湯にパスタ全体が浸ったら蓋をセットする
パスタ同士がくっつかないように菜箸でさっと混ぜ、全体がお湯にしっかり浸かっていることを確認したら、いよいよ圧力鍋の蓋をします。
カチッとロックがかかる音を聞くと、「よし、美味しくなってね」とスイッチが入る気がします。ここからが圧力鍋の仕事です。
ステップ5:圧力段階2の中圧設定で圧力をかける
私の使っているフィスラーの場合、圧力設定ダイヤルを「2(中圧)」に合わせます。
強圧すぎるとパスタが粉々になってしまったり、溶けすぎてしまったりする恐れがありますし、低圧だと「もちもち感」が物足りない。この「中圧」が、パスタにとってのスイートスポットのようです。強めの火にかけて、圧力が上がるのを待ちましょう。
ステップ6:圧力表示がグリーンになったら弱火にする
しばらくすると、鍋のピンが上がってきたり、表示が変わったりして圧力がかかったことを教えてくれます。フィスラーの場合は表示がグリーンになります。
このサインが出たら、すぐに弱火にします。ここからは、圧力をキープしつつ、静かに熱を通していく時間です。
ステップ7:弱火で3分キープ
ここでの茹で時間は「3分」です。
バリラNo.4の標準茹で時間は7分ですが、圧力鍋の場合は加圧時間が3分で十分なのです。「えっ、半分以下の時間で大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、信じて待っていてください。この3分の間に、鍋の中では劇的な変化が起きています。
ステップ8:火を止めて圧力が抜けるのを待つ
3分経ったら火を止めます。でも、すぐに蓋を開けてはいけません。
火を止めてから1〜2分ほど、圧力が自然に下がるのを待ちます。この「蒸らし」の時間が、パスタの芯まで水分を行き渡らせ、あのもっちり感を生み出す最後の仕上げになります。
鍋の安全装置が解除され、圧力が抜けたことを確認したら蓋を開けましょう。ふわっと立ち上る湯気とともに、ツヤツヤと輝くパスタとご対面です。コランダー(ざる)で、お湯を切れば、完成です!
ひと口食べればわかる、その違い
出来上がったパスタをお皿に盛り付け、まずは何もつけずに一本食べてみてください。
「……もちもち!」
きっと、そう言ってしまうはずです。噛んだ瞬間の弾力が、普段食べているパスタとは明らかに違います。中心部にぎゅっと密度が詰まっているような食感。それでいて、表面はツルッとしていて歯切れが良い。
たとえば、濃厚なボロネーゼや、チーズたっぷりのカルボナーラと合わせてみてください。もちもちの麺がソースをしっかりと受け止め、まるでレストランで食べる一皿のような満足感を与えてくれます。もちろん、シンプルなオイルソースでも、麺自体の美味しさが際立って絶品ですよ。
おわりに
時短目的ではじめた圧力鍋パスタでしたが、今ではこの食感を味わいたくて、時間がある時でもあえて圧力鍋を使うようになりました。
料理には「こうしなければならない」というルールはありません。ときには好奇心に従って、道具の使い方を変えてみる。そんな小さな冒険が、毎日の食卓に新しい風を運んでくれるのだと思います。
もしお家に眠っている圧力鍋があったら、ぜひ一度試してみてください。いつもの乾燥パスタが、ちょっとよそ行きの顔をして、あなたを驚かせてくれるはずです。